食堂に一人で通うのももうなれた。
隅でポツンといつもと変わらぬメニューを頼み。
一人もくもくと食べ、10分そこらで片付ける。
これが日課。
なれというものは恐ろしい。
それでも1人なのだから仕方の無いこと。

でも今日は違った。

「あぅぅぅ!!なんで今日はこんなにこんでんのさっ!!あのぉ〜前いいですかぁ?」

ここに来て初めて声をかけられた。
思わず箸を落としてしまい、訪問者は驚いていた。
いるのは教団の服を着ているまだ幼げのある女の子。
肩には縫い目が粗く、両目がそれぞれ違うボタンでできた
猫?のような人形がぶら下がっていた。

「えっ?あっはい。どうぞ。」

はじめてみる顔だった。
多分新入りなのだろう
私の近くに来るのだから

「おぢさん。いつも一人なわけ?」

「おぢさん?!えぇ…まぁ一人です。」

おぢさんと呼ばれる類になったのか…
まぁ相手は15も満たなそうな女の子
20も離れてればおぢさんになるのか。
年が早く増えることに若干の切なさを憶える。

「ふ〜ん。」

聞いてみたが、どうでもよさげな返事。
どうやらパスタを頼んだらしい。
ミートソースのおいしそうなにおいが漂う。

「…あの…。」

「何?」

「その…人形は…。」

「あっあたし人形士なの。これはトクナガ!かわいいでしょ?!」

愛くるしいその表情には
『うん』
と頷くしかなかった。
しかし人形士のわりには
あまりこの人形は生かされてないようだ。
ただ、そこらへんの少女、あるいは少年等がもっている
人形となんら変わりは無い。

「少し…かしてもらえますか?」

「ん?いいよぉ。でも大切に扱ってね!!」

受け取るとそれはただの人形。
なんの機械も構造もなされてない。
これでは彼女はここでは役に立たない。

「…。」

「ちょっ。何してんの?!」

「はい。これでいいですよ。このトクナガとやらに大きくなれと唱えてみてください。」

「ほぇ?…。」

すると食堂の机といすが壊れる音が響いた。
あのなんの変哲も無かったあの人形が
少女よりはるかにでかい人形へとなった。

「成功しました…よかった。」

「よかったじゃないよっ!!トクナガになにしたのさっ?!」

「すこし音素を取り入れて…貴女の指示通りに動くはずです。戦闘用に改造してみました。」

「…ホント…?あっありがとう。」

遠くで誰かの名前を呼んでいる人がいる。
それを聞いて少女は振り返った。
どうやら母親らしい。
彼女は『アニス』というそうだ。

「それで、大切な人を守ってあげてください。」

「うん!おぢさんありがとう!じゃあね♪」

最後までおぢさんですか…
まぁいいんですけどね。


数ヵ月後
私は六神将の1人として今後を生きることになった。
アニスという少女は導師守護役になったと
六神将の1人
いえば…あの少女のような子がいっていた。
大切なものを守る役に私は立てたんだ
と嬉しく思った。


後日。

「待ちなさいっ!この薔薇のディスト様が貴方たちの相手です!」

セントビナーでそれは起こった。
愛しのジェイドとの対面。

「ちょっとなんなのよぉぉ!!」

そして聞き覚えのある声。
あのときの少女。

「おや。鼻たれディストじゃないですかぁ〜。」

「違います!!薔薇。ば・ら!薔薇のディストです!!」

彼女はあのトクナガを利用して戦闘に臨んできた。
その横には愛しのジェイド。
そのとき、あの食堂が混んでいたことを
そして私の前に現れた彼女に
私は感謝をしていた。

あぁ…彼女は自分の大切なもの以外も守ってくれてたのですね。
私の力は、あの人をも助けていたのですね…。

それは…ありえなかったこと。
それは…変えがたい喜び。

ありがとう。それを心からいいます。

「はいはい。とにかく邪魔なので消えてください。」

そして私はまた何処かへ飛んでいく。
貴方にまた門前払い。
それでも今日は良しとしましょう

私があなたをまもっている
という事実がわかったのですから。




ねがえばいつかはとどく…それをしんじて…